今年は戦後80年の夏です。80年という節目と言うことで多くのメディアで当時のことを振り返っています。
戦争は何の成果も生み出さない、だれもを苦しめるものでしかありません。あの悲惨なときを決して繰り返してはならないという思いを私たちは持ち続けていき、その思いをつないでいくことが大切です。
先日とある報道番組を視ていて驚くことがありました。
「被団協(日本原水爆被害者団体協議会)という団体を知っていますか?」「ノーベル平和賞を受賞したことを知っていますか?」
町をいく人にこの質問をしたところ、団体名を知らないどころか、ノーベル平和賞を受賞したことすら知らないという人が少なくなかったのです。
詳しくは知らなくても、そのことを聞いて、ああそういえば・・・、と言い出すくらいであってほしいところですが、何の話をしているのかまったくわからない顔をされていて・・・。
こんな状況を目の当たりにしますと、80年という節目などということは関係なく、81年でも82年でも、終戦の日に限らず、正月でもXmasの時でも1年中伝えていくべきことであると強く思います。
実際に、“悲惨な思いを忘れてはならない“とか”2度と繰り返してはならない“などと大層に銘打って報道しているメディアも、8月も終わり頃になればほぼ扱われなくなってしまいます。
本当に節目だからなんて言っていないで、四六時中伝え続けないと忘れ去られてしまう、教科書に載っている歴史の出来事のひとつになってしまいます。現実味のないものになってしまいます。そんなふうになってしまったら、人はまた同じことを繰り返してしまうのです。
そういう私も戦争反対などと声を上げて訴えたことはありません。
何も知らず、関心も無い人たちとあまり変わらないかもしれません。
ただひとつだけ違うことといえば、頭の中に強く残っているものがあります。
東松山市に丸木美術館という施設があります。ここは画家の丸木さんご夫妻が画かれた沢山の絵が展示されています。小学生のとき社会科の課外学習か何かでここを訪れました。その時に見た原爆の被害者の絵、指が溶け堕ちて3本しかないその絵が何十年も経った今でも頭の中に残っています。もしかしたら実際の絵は違うのかもしれません。怖さでそう見えたのかもしれません。
戦争とは皆を苦しめるものであり、ましてや原爆なんて言うまでもなく悲劇しか産み出さない。
この過ちを繰り返さないために、真実を語り伝えていくことの大切さを改めて感じた、そんな番組でした。
ちなみに、丸木美術館ですが、今年の9月末頃から改装改築のため休館されるそうで、新規オープンは27年の5月の予定とのことです。
もうひとつご案内させていただきますが、熊谷市立図書館で戦後80年の特別展示を行っているそうです。熊谷寺のほうからも戦時中のポスターなどを提供させていただきましたのでお時間がございましたら是非ご覧いただければと思います。
今はお盆の最中です。皆さまのお父さまお母さまお祖父さまお祖母さま更にはそれ以前のご先祖さまたちが、その命の大切さを伝え続けて来たからこそ今の私たちがここにいるのです。
ご先祖さまたちへの感謝、その思いを持って今年のお盆をお過ごし下さるようお願い致します。