蓮生山熊谷寺

「数珠と合掌」

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約3分

  ●「数珠」について

 浄土宗では、数珠は二連となっているものを使用します。同じ大きさの珠が並んでいる一の環と、大小二つの珠が交互に並んで二の環、 更に丸い珠のついている一の房、円盤状の珠がついている二の房、このような数珠を使用します。これら二つの環と二つの房は、 お念仏を唱える際にその数を数えるために使われます。一の環ひと回りでお念仏が三十九遍、この際に二の環の珠をひとつ、そして、 二の環がひと回りしたら、一の房の珠ををひとつ、更に一の房がひと回りしたら二の房の珠をひとつ。こういったふうに数えていきますと、 合計で六万遍のお念仏を唱えたことになります。

 右写真の数珠は六万遍と呼ばれる数珠ですが、参考までに挙げますと、その珠や環の大きさや数によって、三万遍、三万五千遍、 更には京都の知恩寺にある百万遍と呼ばれる一つの珠がソフトボールくらいある数珠もあります。

 数珠の持ち方、かけ方、合掌の仕方は図のように、合わせた両手の両親指に二連を掛け、手前に垂らします。このとき、 指はまっすぐに伸ばし、ぴったりとつけます。右手が仏さま、左手が自分であり、両者がとけあい、 仏さまにいだかれて安心して生きていくことができるというわけです。

   ●「合掌」のしかた

 また、合掌の際に珠同士を擦り合わせてジャラジャラと鳴らす方をよくお見かけしますが、少なくとも浄土宗においてですが、 これは避けるようにしましょう。ジャラジャラという音がみっともないとか、やかましいとかいう意見もありますが、 浄土宗の本質で言いますと阿弥陀さまの光はすべてのところに届いていて、常にわれわれのことを見ていてくださるのです。ですから、 「南無阿弥陀仏」と称えるだけで阿弥陀さまはもうその願いを聞き、救ってくださるわけです。 敢えて音を立てて自分の方を振り向かせる必要は無いということなのです。「月影の至らぬ里はなかりけり・・・」という歌がありますが、 阿弥陀さまの光は月のあかりと同じくすべての場所を分け隔てなく照らしているのです。法要の際、お念仏を称える直前に、 「光明遍照 十方世界 念仏衆生 摂取不捨」と必ず称えますが、この意味は、如来(阿弥陀さま)の光は、あまねく十方(すべての) の世界を照らし、念仏の衆生(念仏を称える人々)を捨て給わず(捨て去ることはない、つまり必ずその願いを聞きとどけてくれる) という意味です。まさに浄土宗の本義です。ですから、お念仏をしましょう、阿弥陀さまにお願いしましょう、ということになるわけです。

 お仏壇やお墓にてお参りする際にも、こういったことを踏まえてお念仏をお称えするように心がけましょう。

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