蓮生山熊谷寺

仏事心得アーカイブ

2003 views
約6分

前ブログにて投稿させていただいた「仏事心得」カテゴリーの記事です。

2018年09月20日

●「お彼岸」

「暑さも寒さも彼岸まで」という通り、朝夕に涼しさが感じられるようになったこの季節、秋の彼岸を迎えます。
秋のお彼岸は、秋分の日を中心(お中日)とする1週間を指しますが、そもそも彼岸とは”彼の岸”と書く通り、わたしたちの住む世界(此の岸)と相対する極楽浄土を意味します。ではなぜこの時期を彼岸と呼ぶのでしょうか。春分・秋分の日と彼岸を繋げるポイントは「太陽の位置」です。
『観無量寿経』には、「日想観」といって、夕日の先に極楽浄土を思い浮かべる、という仏道修行のひとつが説かれています。その修行に最も適している日こそが、太陽が真西に沈む春分・秋分の日で、これがお彼岸の由来となっています。
残暑の中にも虫の声が聞こえはじめる季節です。お彼岸には、今日ある自分を育ててくれたご先祖さまへの感謝と。先立った方々へのご回向のためにも、まごころのお念仏をお称えしましょう。


出典『浄土宗行事シリーズ』No.273より引用Posted by at 11:29 | Category : 仏事心得

2004年11月15日

●「法要の手引き2 49日(満中陰)法要」

 亡くなった日から49日の間、故人はわれわれのこの世界に居るでもなく、 阿弥陀さまのおつくりになった浄土の世界へ往生しているのでもないはっきりしない状態にいます。これを称して、陰の中にいる、 すなわち中陰といいます。一般的には、49日間経過して、浄土へ往生するということから、この中陰が満了したという意味で、 49日法要のことを満中陰法要とも呼んでいます。

 ですが、浄土宗においてはその依り所とする3経(『無量寿経』、『観無量寿経』、『阿弥陀経』)において、即得往生を説いています。 故人が亡くなられてすぐに、つまり通夜式の際に阿弥陀さまが来迎され、葬儀式の後、荼毘にふした煙とともに浄土へ昇っていき往生するのです。 沢山の仏さまたちがいらっしゃるように浄土も沢山あります。このうち、阿弥陀さまがつくられた西方浄土を選ぶなら、 南無阿弥陀仏と阿弥陀さまにお願いするなら、死してなお閻魔大王をはじめとする7日ごとの裁判など受けることなどなく、 即座に浄土へ往生できるというわけです。


 われわれが引っ越しをしたりした場合を考えてみて下さい。すぐに今までの生活には戻れないことでしょう。後片付けや近所へのご挨拶、 その他いろいろとしなければならないことがありますよね。それと同じように、 浄土の世界へ引っ越してもすぐに慣れるということはないでしょう。時間が掛かります。すぐさま浄土へ往生はしているものの、 阿弥陀さまの蓮のつぼみの中であたためられ、それから光が放たれ花が開くように浄土での本格的な生活が始まるのです。その意味では、 満中陰というよりは放光忌、若しくは放光会と呼んだほうが良いのですが、一般的には満中陰と呼ぶ場合が多いようです。
 また、われわれにとってもかけがえのない人を亡くした深い悲しみはもっともなことですが、いつまでもそれを引きずっていてはいけません。 新たな生活を始めなければならないのです。その区切りとするべく49日法要というものがあるのだとお考え下さい。 
 
 満中陰法要の際には、お位牌(黒位牌)のお開眼も一緒に行いますので忘れずにお持ちください。また、ご本尊前の供花、 故人のための供物などもご準備ください。お塔婆につきましては、 事前にお申し込みいただければ当寺にて一基7千円にて準備させていただきます。
 
 
 故人が完全に浄土で生活をし始め、阿弥陀さまやその他多くの菩薩さまたちと一緒に暮らし始める大切な日ですので、その感謝や、 これからお願いしますといった思いを込めて法要にのぞまれ、お念仏をお称えくださるようお願いいたします。
Posted by at 23:50 | Category : 仏事心得

2004年11月14日

●「法要の手引き1 通夜・葬儀式」

 ご家族がお亡くなりになりましたら、先づ菩提寺へご連絡下さい。他のお檀家さまの葬儀や法要、 その他の行事などの予定が入っている場合がありますので、菩提寺の予定をご確認していただくためです。

 葬儀社との打ち合わせ等で日時が決定されましたら、再度菩提寺へ連絡のうえ、ご来寺くださるようお願いいたします。 お戒名などを授与するにあたって、故人の性格や趣味、信条等をお伺いする必要がありますので、 ご家族のかたいずれかが必ずご来寺されるようお願いいたします。
 
 
 当寺院では、通夜式にあたっては浄土三部経のひとつ『阿弥陀経』の前巻「極楽段」を読経いたします。 浄土三部経とは浄土宗のよりどころとなる3つの経典で前述の『阿弥陀経』の他に、『無量寿経(大経)』、『観無量寿経(観経)』 の2つがあります。

 通夜式で読経いたします『阿弥陀経』の前巻「極楽段」ならびに、葬儀式で読経いたします『阿弥陀経』の後巻「六方段」は、 故人がこれから行かれる浄土の世界の様相を、つまり阿弥陀さまがおつくりになった西方浄土の世界はどういう世界なのかを、 お釈迦さまが弟子たちに説いた話を文字として遺されたものです。
 
 
 前巻では、空には様々な鳥たちが飛びかい、雅やかな鳴き声で奏でており、地面は金銀の砂で覆われ、 池には車輪のような大きな蓮の華が青白黄赤にひかり輝き、建物は金銀瑠璃玻璃などの様々な宝石で造られていて、 まばゆいばかりのすばらしい世界である、と述べられています。勘違いされてはいけないのですが、これだけを聞くと、 成金趣味のこれ見よがしな毒々しい世界なのかとも考えてしまうかもしれませんが、 現実世界での表現をとったためこのような言い方になっただけなのです。とにかく、すばらしい世界であるということを述べているのです。

 後巻は六方段、若しくは護念経とも呼ばれており、東南西北の四方と上下の二方を合わせ、六方、 すなわちあらゆるところに多くの仏さまたちが住んでいるということを述べています。その仏さまたちの数はガンジス河の砂の粒の数ほどで、 広さは三千世界の彼方まであるとも述べられています。
 
 
 つまり、浄土の世界とは仏さまの清らかな慈悲の光が満ちあふれ、美しい花が咲き匂っているところなのです。 私たちだれでも心に持っている金欲、物欲、名誉欲など様々な俗世の欲望をきれいに捨て去った世界なのです。いがみあいやそしりなどがなく、 みんながお互いに助けあって平和に健やかに暮らしていける世界、これが浄土の世界なのです。Posted by at 23:38 | Category : 仏事心得

FacebookでシェアTwitterでシェアPinterestでシェア