今秋、紅葉には少々早い十月末訪れた善光寺。この寺院をご存じない方はそうはいらっしゃらないと思いますが、 改めてこの善光寺をご紹介させていただきます。
長野駅を降り外へでると、駅前には善光寺の参道へと続く道が延びています。2キロメートルもない距離ですので歩いていくことにしました。
しばらくすると、仁王門にさしかかります。仁王さまに懺悔をし、 けがれを清めてもらったのちこの門をくぐります。
さらに進み、大門を過ぎ、左右に浄土宗大本山のひとつである善光寺大本願や四十あまりの寺院と宿坊を見ながら三門(山門)へと進みます。 この門をくぐると目の前に今回の目的である善光寺本堂があらわれます。
善光寺は、日本最古のみ仏を祀る日本を代表する霊場であり、寺伝によると、皇極天皇三年に勅願によって建立されたものです。 ご本尊の「一光三尊阿弥陀如来」はインド・百済国を経て、欽明天皇十三年に日本に渡られた三国伝来のみ仏で秘仏となっており、 七年に一度の御開帳で姿を見せるのみとなっています。また、本堂床下には「戒壇巡り」があります。これは当寺と同じものであり、 真っ暗闇の中を右手で腰の高さに壁をつたって進むと、やがて重々しい錠前が手に触れます。この錠前は本尊の真下にあり、 本尊とつながっています。触れれば本尊と結縁することができる、 すなわち阿弥陀さまのおつくりになった西方極楽浄土への往生が約束されるのです。
「牛にひかれて善光寺」などと、善光寺信仰と呼ばれるその魅力は、無宗派であり誰もが参詣できること、極楽浄土を目的にしていること、 女性救済を積極的に行ってきたこと、そしてなにより、貴族でも国家でもない、庶民のための寺院であること、などが挙げられるでしょうか。
訪れたなら、是非とも「お朝時」に赴いていただきたい。 お朝時とは善光寺で毎朝(日の出時刻によって開始時間が変わる)行われるお勤めのことであり、 本堂での拍子木の高々とした音が鳴り、天台宗、浄土宗の順でお勤めが始まります。 このお朝時を勤めるためには宿坊に泊まるとよろしいでしょう。今回はあいにくこの宿坊が空いておらず、 駅近くのホテルへ泊まることとなってしまいましたが、この宿坊とは前述の通り善光寺参道沿いにある各宗派の寺院であり、 浄土宗でいうと「淵之坊」という寺院があります。 お寺の宿坊などというとあれやこれや厳しいことがあるのかとご心配されるかもしれませんが、そんなご心配は無用です。 隣部屋との仕切が襖であるということ以外は一般の旅館と同じで、食事は宿坊らしく精進料理をいただくこととなります。 当方も次回善光寺を参詣するときにはここに泊まってみたいと考えています。